5.交通事故やトラブルは相互の関係性で発生する
交通事故は、単独の事故を除けば、他者との相互関係のもと発生する。仮にこちら(自転車)側にまったく非がない場合であっても、相手(車やバイクなど)の挙動によっても事故は発生する。そして逆もまた然り、こちら側の原因による事故も起こる。
例えばそんな場合、相手がいち早くこちらの挙動に気づき、スピードを緩めるなどの対応をしたら、もしかしたら事故は防げるかもしれない。同じように、こちらも相手の動きに注意し、先回りして危機回避行動を起こせば、ある程度事故のリスクは減るだろう。
つまり、どのような状況であれ、交通事故は相互の関係性によって起こることを理解し、そこに注意しながら走行することは、安全走行には不可欠だということである。
そこで改めて考えてみよう。従来の小学生に対して行われる交通安全教育の基本は、「交通ルールの遵守」である。交通ルールをしっかり守って、マナーよく正しく走る。これは正しい。
ただ、先述したとおり、こちら側の交通ルール遵守だけでは防ぎきれない事故も発生する可能性があるとすれば、交通事故が相互の関係によって起こるという部分に関して、さらに深く理解できる取り組みが必要になるはずだ。
とにかく様々なトラブル(事故など)には、必ず原因がある。そしてその原因は、内からも外からもやってくるということを忘れてはならない。
つまり、一方通行の危険情報だけでなく、そもそも事故が起こる可能性についての想像力(危険予測)を養い、万が一の場合の咄嗟の判断や対処法(判断力、技術力の向上)なども合わせて身につけることが大切だ。その上でルール運用への理解が、個々の安全マージンをさらに上げるためにも必要なのではないかと考える。
交通事故の発生原因の本質的な理解や交通社会の経験をさせずに、子どもたちに対してここまで複雑化した交通ルールを机上で理解させるのは、やはり無理がある。 子どもたちに伝えなければならないことは、交通事故はどこにいても起こりうること、加えて相互の関係の中発生すること。そしてなにより、自分で対処する術を身につけることが大切で、それらを自分でしっかり考えることが重要である。