指導要領

はじめに

9.ウィーラースクールは自転車を使って社会性を学ぶ場所

これまで10年の運営の中で、子どもたちへの交通教育、特に自転車を使った効果的な教育手法の模索に始まり、どうやって成果を上げるのかを、様々試行錯誤してきたが、近年、ようやく「子どもたちの個々の社会性を向上することが自転車を認める社会を実現する」という考えに到達した。

高度な社会性を身に着けた子どもは、あらゆる状況下においても冷静に最適な選択を自ら判断し行うことができる。また、他者に対しても思いやりをもった考え方が可能になる。
とはいえ、ただそれだけで子どもたちの安全は担保できるとは思わないが、まずは自分の身は自分で守るという考え方や、交通社会は他者との関係で成り立っているという感覚を身につけることは、非常に大切なことである。
これまでの様々な実践と子どもたちの学び育つ様子を見て、そうした感覚を持てば、結果的に自身の命を守ることにつながると確信に至った。

今回、公開するウィーラースクールジャパンの指導要領では、実際のスクール運営のノウハウはもとより、特に重要視している子どもを成長させるために、指導者(大人)はどうあるべきなのか、という子どもに対して真摯に向き合う基本的な考え方、また、それにともなう様々な考え方など、アイデアや手法の共有を目指している。

ウィーラースクールは、いわゆる子ども向けの自転車教室なのだが、実は自転車を使った人間形成の教育手法でもある。

「ひとりでも多くの子どもに、自転車に乗る楽しみを」

この言葉には、我々の大人から次の世代を担う子どもたちへ伝えたいメッセージが詰め込まれているのだ。

交通社会における社会性は、実際の現場でしか身につけることができないため、スクールのような環境が必要になる。

はじめに