指導要領

第三章 実践的プログラム

3-9 幼児向け自転車教室を開催する

幼児に対して行う自転車教室(講習)は、小学生以上に対してのものとは違い、指導方法、コンテンツ共に、細かく変化させる必要がある。例えば、子どもの成長はそれぞれの年齢内で大きく異なるが、幼児期は個々の差異の幅がさらに大きくなるため、細かな調整が現場に求められる。
ここでは、いわゆる未就学児童と分類される年齢層に対しての指導方法やそのポイントについてまとめてみる。

未就学児童を指導する上で、その年代の特性を良く理解しておくことが必要

年齢毎の習熟度

大体の目安となる年齢別の習熟度を列記するが、これが必ずしも個々の子どもの年齢に対応するとは限らない。
あくまで参考にしてほしい。

●1歳〜2歳 :
 <技術>成長の早い子でプッシュバイクを自由に操作する子もいるが、大半はそれも難しい
 <知識>交通ルールなどの理解を求められない
 <感覚>楽しいことにのみ興味が湧くが、自転車そのものへ興味を持たせることは難しい

●2歳〜3歳 :
 <技術>補助輪付きの自転車またはプッシュバイクに乗る子が大半。補助輪無しで走る子もいる
     ※ブレーキの理解と操作は難しい
 <知識>概ね交通ルールなどの理解を求められないが、多少理解する子もいる
 <感覚>楽しいことにのみ興味が湧く

●3歳〜4歳 :
 <技術>補助輪付きの自転車を乗る子が大半。補助輪無しで走る子もいる
     ※ブレーキの理解と操作が可能になり始める
 <知識>交通ルールなどの理解を深く求められないが、集団での行動に関しては理解出来る
 <感覚>楽しいことに興味が強く、自転車に対して明確な興味を持ちはじめる

●4歳〜5歳 :
 <技術>補助輪無しで走る子が一気に増える時期
     ※ブレーキの理解と操作は十分可能
 <知識>集団行動に対して理解が進む年齢なので、交通ルールやマナーの感覚を浸透させることが可能になる
 <感覚>楽しいことに興味が強い、反復行動により感覚が飛躍的に成長する

●5歳〜6歳 :
 <技術>技術が飛躍的に向上し、自転車での活動範囲が一気に広がる
 <知識>集団行動に対して理解がさらに進む年齢なので、交通ルールやマナーの感覚を浸透させやすい
 <感覚>主体的に他者に関わることで交通社会での振る舞いを教えやすい年代。小学生と同じ行動も可能。

年齢と成長の度合いにより、理解する幅と深度が異なる

ポイント
  1. 年齢別の習熟度に合うプログラムを用意する際にも個々の子どもの成長度合いを配慮する
  2. 総体的に、情報を伝えるのではなく、体感させることに重点を置く
  3. 遊びの中で、必要な感覚の成長への切っ掛けをつくる
  4. 可能であれば、多彩な年齢構成の中で遊べる状況をつくる(異年齢交流による成長の促進)
  5. 「自由」と「開放」がキーワード

【サンプル例】 3歳児向け自転車教室

3歳児向けの自転車教室の例
講習時間は、30分〜50分
各々の時間配分は、子どもの様子を見ながら判断、調整する。
最終的に、仮に自転車に乗らない子がいても、「この教室に参加して楽しかった」という気持ちで終われるよう、指導者とスタッフは配慮すること。(次回挑戦への意欲を持たせることが重要)

進 行
  1. アイスブレイク
  2. 挨拶、ゲームなど
    <ねらい>指導者と子どもたちがまず「仲間」になる

  3. ウォーミングアップ
  4. 〇音楽を流しながら、ゲーム感覚で行う
    ・音楽が鳴っているときだけ走る。音楽が止まれば自分も止まる。
    ・止まり方をだんだん変えていく
      1.目的の場所に止まる
      2.身体の部位を指定の場所に触れさせるなど
      3.楽しいポーズをとる
      4.他者とぶつからない など
    <ねらい>機材と身体を自由に扱う感覚をもたせるきっかけ
        遊びの中で自然に他者の動きを意識する(交通社会における社会性に気づく)

  5. カリキュラムの説明
  6. プログラムの見本実演など
    <ねらい>言葉ではなく、ビジュアルで理解させる

  7. カリキュラム〜体験-1
  8. 以下のプログラムコースを並列で用意し自由に選択させながら遊ばせる
     ・一本橋
     ・スラローム
     ・シーソー
     ・ポールくぐり
      など、バランス感覚を培う切っ掛けをつくるカリキュラム
      ※その場にいる子どもたちの様子を見ながら調整

  9. カリキュラム〜体験-2
  10. 自由にコース(遊び)を作ってみんなで遊ぶ
    <ねらい>子どもの創意工夫を引き出し、主体性を持った関わり方をさせる

  11. まとめ
  12. 道路を走る意味、起こりうる危険などを様子を見て言及
    教えるより、伝える感覚で子どもと大切な内容について「対話」する
    記念写真など

子どもが興味を持つアイデアをどんどん取り入れる

身体を上手く使い、社会性を持たせることを最優先に

とにかく自由に、やりたいことができる、器の大きな空間をつくることを意識する

第三章 実践的プログラム