指導要領

第1章:指導の基本理論

1-7. 共創によるオーナーシップ

以前、ある自治体から3歳児向け自転車教室の依頼を受けたことがある。
当初、行政担当者から相談を受けた時には、正直この依頼を受けるかどうか迷った。われわれのウィーラースクールでは、特定の年齢や技術層ではなく、様々な年齢やレベルが渾然一体となった、異年齢交流の中での学びの場を大切にしているからだ。
そこで、新たなアイデアとして、指導する大人と3歳児の中間世代、つまり小学生をスタッフに組み込んで、教室を運営してみることにチャレンジしてみた。
実は、これまでも日々のスクール中に、年齢の上の子が下の子を面倒見たり、リードしたり、時にはスタッフとなって運営に協力したりという局面を経験しているので、さほど難しいことでは無いという確信もあったからだ。

そこで、指導する側の子どもたちに一度、予行練習をさせることになった。
イメージが沸かないまま開催したそのスクールは、かなり混乱したが、終了後、子どもたちとミーティングをすると、様々な改善点や、対応策などの意見が飛び交った。

例えば、

  1. 幼児の集中力がどれくらい続くのか
  2. 幼児に難しい教材は?理解しやすくするにはどう改善すべきか
  3. 事前に小学生が見本を見せた方が効果があるのではないか
  4. 班分けをしてグループ単位で行動した方がいいのではないか

など、この他にも、子ども目線だからこそわかる的確な問題点や、改善策となるアイデアが多数出てきたのだ。
それぞれに、自分たちがなにをするために今ここにいるのかなどの主体的な視点や問題意識が芽生えた瞬間だ。
今回のスクールで言えば、小学生には、対象年齢に近い世代だからこその目線で、彼らにしか見えない、また、感じられない、アイデアが生まれた。そして、彼らの様な中間世代の介入によって、大人と子どもだけではない、その場の関係性がシームレスに繋がり発展したと思う。

自らが判断し、決定するプロセスを用意する。

どんなことでも、自分で決めたことには集中して取り組める傾向がある。

自らが考え工夫するコース作りも遊び(学び)の一部

「ここにどんなカーブがあったら面白い?」と、子どもたちに問いかけ、一緒にコースを作る。「与えられた練習」ではなく「自分たちの遊び場」になることで、ルールを守る意識や責任感が芽生える。自分もスタッフになってみたいという、少しの背伸びから始まる自分ごとへの変化。

理論的裏付け:プロジェクト型学習(PBL)とオーナーシップ
学習者がプロセスに参加することで、当事者意識(Ownership)が高まり、深い学びにつながる。

blackynakajima     2026.2.12 update

子どもはなにが楽しいのか、どんなことに惹かれるのか。実は大人よりも年齢が近い相手の方がうまく理解できる
第1章:指導の基本理論