第1章:指導の基本理論
1-10. 観察の解像度を上げる(感情のモニタリング)
「技術」ではなく「心」を見る
指導者が観察すべきは、自転車の操作スキルではない。その子が今、「どんな感情で取り組んでいるか」をみる。
楽しそうに走っているように見えても、実は「周りの子がやっているから我慢して合わせている」だけかもしれない。「失敗するのが怖くて、わざと後ろを走っている」のかもしれない。
「自発的に動いているか(Want)」それとも「やらされているか(Must)」、その微細な心の動きを見逃さないことこそが、観察の核心である。
自転車がふらつくのは「結果」。その原因は、目線が下がっているのか(恐怖)、よそ見をしているのか(散漫)、それとも周りを気にしすぎているのか(不安)。
わたしたちは、その様子を観察し、彼らに話しかけるべき言葉を選ぶ
プログラムを捨てる勇気
もし、子どもたちが飽きている、あるいは難易度が合わずに白けている空気を感じたら、予定していたプログラムは即座に捨てる。
「せっかく準備したから」と固執しても、その状況では、あまり意味がありません。
目の前の子どもたちの感情(バイブス)にアジャストし、今この瞬間に彼らが夢中になれることへ切り替える。
指導者は、厳格な教師ではなく、場の空気を操るDJのような存在であるべきです。
この即興的な対応(ライブ感)こそが、子どもたちを「遊び」という学びに没頭させ続ける唯一の方法なのです。
理論的裏付け:形成的評価(Formative Assessment)
テストの点数などで最終的に判断する「総括的評価」に対し、学習のプロセス中に生徒の理解度や意欲をリアルタイムで観察し、そのフィードバックを即座に指導計画に反映させていく手法。

第1章:指導の基本理論