1-6. 代理強化が生む「熱狂の伝播」
ウィーラースクールでは、異年齢交流や、異なった属性の子どもたちがごちゃごちゃになって活動する状況を作り出すことを大切にしている。それは、同学年や年齢を輪切りにしたような横の関係性だけではなく、上や下の斜めの関係性を含む「社会の中」でこそ、子どもの成長をより感じることになるからである。
子どもは子どもの社会の中で過ごすことで、より多くの体験をし、学びが深まること、社会性を培うことが可能になる。
理由はいろいろあるが、同じ年代だけを切り取って学ばせるだけでは、本来の学びを深めるには無理がある上、期待した効果があまり得られないと感じることが多かったからである。
子どもへの取り組みは、その時だけでなく長期的に子どもの様子を追いかけて対応することが大切なので、そういう観点からも、異年齢の子ども社会を教室の中で作り出すことで、継続に繋がって行くと感じる。幼児と上の子達、そのまた上のお兄さんお姉さん、そして大人がみんなで社会に関わって行く流れは、とても好ましい。
技術や経験値の差は、年齢が異なる子どもが多く含まれるグループで、さらに顕著になる。
その幅広い能力差をうまく活用すれば、全体的にチャレンジする意欲にあふれる空間をつくることが可能になる。
例えば、補助輪外しプログラムはその代表例だろう。
数十人いる子どもの中から、もうほとんど補助輪を外して乗れる技術まで到達している子を見つけ、彼に一番最初のチャレンジャーになってもらう。
見立通り、概ねそんな子は5分もすれば、コツを掴んで自分一人でペダルを漕げるようになる。すると、面白いことに会場の空気が一変する。
子どもたちの殆どは、自分で自転車に乗ることをイメージできていない。その彼らの眼に、目指すべきイメージが、飛び込んでくるのである。
「ぼくも(わたしも)ペダルで、こいでみたい」
多くの子がそう感じる、そんなエネルギーが会場に満ち溢れる。
一番最初に走り出して喜ぶ子どもや、親御さんの歓喜が伝播する瞬間である。
喜びが一気に、会場全体に広がっていく
プログラムやコースの設計も同時に重要な要素となる。
一人の挑戦がみんなを変える
誰かが「挑発」に乗って難しいコースをクリアし、興奮している姿。それを見た他の子どもたちは、「楽しそうだ」「僕にもできるかも」と感じ、我先にと挑戦し始める。
理論的裏付け:社会的学習理論(Social Learning Theory / Bandura)
他者の行動と結果(成功や報酬)を観察することで、自らの行動が変化すること(代理強化)
blackynakajima 2026.2.12 update
