指導要領

第一章 基本的な考え方編

1-5. 具体的な子どもへの関わり方

会場に集う子どもたちの様子をつぶさに見ながら、今、そこいる子どもたちにどう対応すれば適切なのかを瞬時に判断し、カリキュラム内容を調整、的確に進行する高度なスキルが求められる。
具体的には次の4点。

1.対話する

2.信頼し、じっと待つ

3.仲間になる

4.責任を持つ

ウィーラースクールの指導では、子どもに考える余地を与えることが、教育の場では重要なプロセスであると考える。
親も含め、大人は子どもたちに対し、大きく包みながらも、彼らの自発性、自主性を損なわないように立ち位置のバランスを考え振る舞うことが求められる。

美山のスクールではコースの準備も片付けも子どもたちが中心となって行う。はじめての子どもは何度も参加経験のある子どもたちに教えられて行動する。

1.対話する:一方通行にしない

「教える」のではなく「伝える」、「対話」の必要性

交通教育のこれまでをみても一方的に情報を与えるケースが多くみられる。子どもたちは例えば、多くの交通標識、ルール、自転車安全利用五則など、短時間の間に大量の情報を処理しなければならない。
本来、与えられた情報を理解するには、自分で考え判断するプロセスが必要である。多くの情報を提供する前に、彼ら自身に今、何を学ぶのかという本質的な問いかけが本来必要で、情報提供すうる大人側も、子どもがそれを理解しようとする準備の様子を待つ工夫をしなくてはいけない。
問いかけ、語り合う。
大人と子ども、子どもと子どもの会話のキャッチボール(対話)を重要視した情報提供のやり方が必要。

※デンマークでは一方的に与えられた情報は10%しか頭に残らないとされる。

2.信頼し、じっと待つ:口を出さない。彼らに考えさせる

上げ膳据え膳しない

子どもに時間の責任を任せると大人の思うようには進まない。
それを是とするか否とするか。与えられた時間や場所などの制限の中で、大人がやれることは限界があるだろう。しかし、このスクールの本質が、子ども自身で考え学ぶ機会を与えるというものであれば、ときには失敗して足踏みしたり、後戻りすることを、大切な「経験」であると思えば、失敗もまた彼らにとって有益と考えてみてはどうだろう。
子どもから考えたり失敗する<彼らの権利>を奪わないことがとても重要なことだ。

子どもを信頼する「待つ」「任せる」

・混乱はむしろ好ましい
・問題解決の権利を尊重する
・じっと見守るのも指導
・会話を一方通行にしない
・子どもたちから質問させる

自発的な行動を促す

ほんとうの意味や楽しさを見出すのは、子ども自身である

3.仲間になる

一緒に楽しむ

子どもと仲間になろう。(なれあいではなく)本当の友達になろう。
彼らに受け入れられることはスクールを進める上でとても重要である。
子どもと大人の壁を作らないことで、彼らは素直に話を理解することができる。

4.責任を持つ

準備に始まり最後まで綿密に計画し、すべてを理解しておく

子どもたちが十分に楽しむためには、保護者やスタッフなど大人が、これからどうすべきかをしっかり認識し共有することが大切である。子供の教育現場(この場合ウィーラースクール)は常に臨機応変な対応が必要であるため、関わる全ての大人が、その臨機応変な状況に対応できるよう、考え方の基本や事前準備を含め理解をもつことが必要だ。

本当の子どもファースト

子どもだましの定義とは
子どもは◯◯だから、とか、子どもの能力を決めつけたプログラム。
もしくは、子どもには可能性があると銘打って、子どもに必要のない挑戦をさせることも一種の子どもだましと考える。
子どもの成長はそれぞれに違う。しかし焦ることはなく、他の子よりこの部分の能力が遅れているのではないかと思われる子が、まったく違うタイミングで一気に伸びる例も多い。
大切なのは、何をするか、どのレベルでするかも子どもお様子によって適切に配され、子ども自身もその内容を自分で選択し決められる環境を準備することである。

子供の成長に欠かせない、挑戦(乗り越える)と達成感(できた)のバランス

挑戦は大切である。子どもには能力以上のことをどんどん挑戦させよう。そのためのモチベーションを上げる工夫が必要だが、それは大抵の場合、子どもたちの中から生まれる。
しかし挑戦ばかりでは達成しない子どもたちの次へのチャレンジ精神が続かない。
ある程度様子を見て、難しそうな子どもにも、別のまた違った達成感を与えよう。

子どもの様子を見て、彼らのやりたいことに対応する柔軟さが必要

上げ膳据え膳の準備や進行は、結果子どもたちの判断力を培う機会を失い、彼らの思考を停止させることになりかねない。

第一章 基本的な考え方編