はじめに
7.欧州での自転車教育と日本のそれとの違い
北欧、とくにデンマークやオランダなどの、若年層への自転車教育を調べると、日本の教育のそれとは大きく異なっている点に気づく。
北欧の国々でも小学生の年令になると警察などと協力した自転車教育が学校や公的な機関を使って行われる。これは日本の状況もあまり変わらない。しかしそうした教育を受けた子どもたちのその後の様子は、日本のそれとは大きく異なる。
例えば、子どもたちの自転車のメンテナンスへの意識が高い傾向に始まる機材への理解の深まりや、日常的な自転車利用へのモチベーションの高さなど、自転車が生活の中に当たり前に浸透し、さらにはしっかりと活用されていることからうかがえる。
北欧の国々では、老若男女に限らず市民の大多数の自転車活用が進んでいる。自転車は市民の生活に欠かせない足として、また休日の家族のコミュニケーションツールとして有効に活用されていたりする。一般的に、自転車を活用することが、健康にも環境にも良いという感覚が市民に広く深く浸透しているのだ。
翻って日本ではどうだろうか。市民にとって有効な手段として自転車がうまく活用されているのだろうか。
答えは否である。鉄道に自転車を持ち込むことに抵抗がない国とその逆の国ということからも明白である。
自転車を安全に活用するための自転車教室をすべての小学生に行う。
そのスタートは、日本と北欧に大きな違いはない。しかしその後の成果が大きく違うとしたら、そこには一体どんな違いがあるのだろうか。
それは「教育を施した子どもに、実践する場を与えているか否か」ということだと考える。
単純に北欧の子は自転車通学が多い。だから覚えた知識を活用しなくてはいけない。
本当に意味のある知識として身につけるためには、公道で走る意味を考え、実践を伴うことが大切なのである。
はじめに