1-2. プログラムに盛り込むべき要素と具体例
プログラムの中には以下の内容を適切に組み込む。 具体的な機材や手法には、実は決まった基準はない。子どもの年齢や体力、子どもの様子、なにより子どもがやりたがっているのか、などによって技術的な内容や機材のハード面は、その都度変化しても問題はない。ただどのプログラムにも下記の要素がなんらんかの形で適切に組み込まれているように企画することが大切だ。
楽しさ(行動への意欲)
子どもは楽しいと感じたことを繰り返し飽きるまで行う。
反復は技術力向上に効果的である。
例)ゲーム、ミニレース、サイクリング など
自発、自立的な行動(意欲、学ぶ力)
子どもは自分から始めたことには熱心に取り組む傾向がある。
彼らにいかに自発的に行動させるかは、なかなか難しいが、彼らを信じて任せることからそうした行動が生まれることが多く見受けられる。
例)準備と片付け、サイクリング、鉄の掟(約束)など
自身で考え工夫する(想像力、責任感)
子どもは自分で考えたもの、決めたことに責任をもつ。
適切な選択肢を与えながらスクールを進めていくと、選んだことを対して意欲的に取り組む。
例えばコースづくりも子ども自身にさせることで、彼ら自身が責任感をもって活動する傾向がある。
例)選択肢、自由に変化するプログラム など
チャレンジと達成(意欲、承認)
自分の能力より少しレベルが上のチャレンジと、能力と同程度、そして簡単なレベルのカリキュラムを子どもの様子に応じて適切に配置したり選ばせたりすることが効果的。
例)様々なプログラム、サイクリング など
他者との関係性・コミュニケーション(社会性)
自転車は他者との関係性によって交通社会に存在する感覚を持たせる。そのために、集団走行であったり、異年齢交流ができる仕組みをプログラムに盛り込む。最初一時は混乱するが、徐々に秩序が生まれだし、そうなると子どもたちの成長の速度が格段にあがる傾向がある。
例)みんなで走る、サイクリング など
わかりやすさ(納得、真の理解)
できるだけシンプルに伝える必要がある。そのため彼らが理解しやすい工夫をする必要がある。
「教える」ではなく「伝える」、「問いかける」、「待つ」など、子どもの理解を促すためにコミュニケーションの取り方も重要になる。
例)座学の活用、カリキュラムガイダンスの手法 など
OWN SPEED(個性の重視)
子どもは成長の度合いがまちまちである。例えば同年齢の子より、ある技術が劣ってたとしてもそれは恥ずべきことではない。まず子どもの成長には個人差があるということを意識したカリキュラムの組み方が必要である。
例)画一的ではない個々に対応できるやり方や進め方の工夫 など
異年齢交流(社会性、自己有用感)
社会性を育ませる有効な手段として、異年齢間の交流は非常に重要な要素だ。
多彩な年齢層の中で、自分はどういう立ち位置なのかという人間関係における空間認識能力のような力をつけることで、社会の中の役割を認識し、それが自己有用感に繋がる。コミュニケーションの力を上げる。
そのため
例)年齢やスキルで線引きしない、Co-operating Learning など
自転車は乗れば乗るほどうまくなる乗りものとして子どもたちに伝える。 子どもたちが普段から自転車に安全に乗れる環境や機会を与えるのも、最終的には彼らの経験値を上げることになる。